その格好は絶対に狙ってやっているんだろうな

でなければ、お前の笑みがそこまで怪しく見えないはずだ





ぎゅうってして。






 「どうしたのよ、ヴェイグ。そんな所で座ってないで、あんたも泳ぎなさいよ。」


無理だ。不可能だ。
明らかに本人でも無茶な注文していることは分かっているはずだ。


めでたくスールズで結婚式を挙げ。
『新婚旅行』に無人島へやってきたのは構わない。
だが、何故俺の理性を試さんとする格好でいるかが分からない。


木の幹にもたれかかって、うなだれる俺にヒルダは近づいてくる。
・・・できるならば、来ないでほしい。
肌の上で弾いている水滴を舐めたくなる。
いや、それ以前にその姿で迫られたら、自分でも何をするか分からない。


 「せっかくの旅行だってのに。もうちょっと楽しんだら?」


目の前で立つヒルダの水着姿を改めて見つめる。
絶対にこの間、昔の仲間達と海に行った時とは違う水着だ。


どういう水着か、と簡潔な答えを求められたら前回と同じだ、で良いんだろう。

黒のビキニ。

じゃあ、前回と何が違うか、と言われたら。

明らかに隠さなければならない場所のみ生地がある、紐で結んで着るタイプの水着だ。


ヒルダの首と背中に手を回して紐を解けば、すぐに俺が求めるものが目の前に現れるだろう。
ヒルダの腰にある紐を解けば、すぐに俺たちは一つになれるだろう。

それに、必要な箇所しか覆い被せていない水着のせいで、
ちょっと目線を顔からずらせば、彼女のふっくらとした胸が直に見える。



こんな状況で、どうやって理性を保てというんだ。



だが、まだヒルダと体を重ねたことがないから、なかなか手は出しにくい。
ただの獣だと思われたくはない。
それで頑張って、夜までは、と堪えているのに。


 「ヴェイグ。」


だらしなく伸ばしていた俺の足の上に座り込み、体を密着させる。
普段では絶対に感じられないであろう、胸の柔らかさに思わず下半身が反応する。


 「なんだか、私が座ってるところが急に硬くなった気がするんだけど。」

 「そんな所に座るお前が悪い。」


くすくすと悪気ないのであろう微笑を見せるヒルダに、俺はどうして欲しいのかが分からなくなる。


 「ねえ。解いてよ。」

 「え。」

 「あんたの、髪の毛。」


てっきり水着の話かと思いガッカリする俺をヒルダはまた笑う。
そこまでもてあそばれては、こっちも我慢できない。


ヒルダが他に何か言う前に口の隙間に舌を割り込ませると、
俺がこれからすることを受け入れたのか背中に手を回した。
それを確認した俺は、彼女の首と背中で結ばれていた紐を解いた。


 「ぎゅうってして。」


一度離した口から出てきた言葉を合図に俺は彼女の胸に触れた。










 ―あとがき―
てへ☆(そうじゃないだろ)
いや、拍手で「エロでもよかったのに」とメッセージをもらったので、早速。
この続きが気になる!駄文でも、ササーっとしか書いてなくても読むぞ!
と、いう心が広い方はこちらへ。
2005.09.04

ここまでで満足という方は、ぶらうざでお戻りくださいませ〜。