「逃がしはしないわよ。」


ベッドのわきを見てみると、透明な瓶が数本寝転がっている。


・・・明らかに酔っているな。







酒乱?








ことの始まりは、純粋にヒルダに会おうと部屋を訪れた時だった。
ヴェイグは寝付けず、少し彼女に甘えてから眠ろうとしたのだ。
だが、実際に彼女の部屋に入ると、瓶を手に握ったヒルダに迎えられた。


そこまでは、別にヴェイグは気にもとめなかった。
彼女はいつでもおいしいお酒があれば、口にしていたからだ。


しかし、今回は酔うほど飲んでいたらしい。
強引にヒルダに腕を引っ張られたかと思えば、いつの間にかヴェイグの体はベッドとヒルダの間に挟まれた。


 「逃がしはしないわよ。」


突然入ってきて、そのような事を言われても驚くだけで。
一瞬、ヴェイグは何が起こっているのかが理解できなかった―床に転がっている瓶を見つけるまでは。


 「この酒は一体、どこから手に入れた?」

 「キョグエンのおじいさんが安く売ってくれたの。なかなかおいしいわよ。」


なんでも、年に10本しか発売されない珍しいお酒らしい。
ヴェイグは改めて床に目をやる―5本あった。


 「それ全部、お前が一人で飲んだのか?」

 「当たり前でしょ。他に誰が一緒に飲んでくれるっていうのよ。」


流暢な話しぶりからして、酔っているようには思えない。
だけど、彼女の目は話している間、焦点があっていない。
どうやって彼女を落ち着かせようか、ヴェイグは悩んだ。


 「坊やも飲みたい?」


何をどう思ったのか、ヒルダはそう言うなりお酒を口に含み、直接ヴェイグのへと流し込んだ。
いきなり液体が口に入ったことで、ヴェイグはむせてしまい、お酒を少し溢してしまう。


 「ダメじゃない、こぼしちゃ。」


垂れるお酒をヒルダが舐める。
この時点で、ヴェイグはかなり理性を保てなくなってきた。
なにせ、いつもならば彼女は恥ずかしがって迫ってきたりはしない。
なので、このように色仕掛けをされたこともなく、彼はどう対処すればいいのか分からないのだ。


それでも、頑張って、こらえようとする。
酔った彼女を襲うような酷い男にはなりたくないという気持ちから。


何度も彼女に舌を絡められた後、ひとつだけ解決策がでた。


 「おいしいでしょ?」

 「ヒルダ、もう寝ろ。」

 「嫌よ。もっとこうしていたいの。」


眠ってもらえれば、酔っていることだ。朝まで目は覚めないだろう。
そのようにヴェイグはこの問題を回避しようとした。
だが、彼女に甘い声で耳に囁かれる。


 「もう眠った方が良い。」

 「お姉さんの言うことが、聞けないの?」


酔っているせいだと分かっていても、彼女の潤っている瞳に赤く染まった頬が心をときめかす。




 「もっと溺れたいのよ。酒にも、あんたにも。」




そう言われて、誰が拒絶できよう?

少なくとも、ヴェイグにはできなかった。
彼女を押し倒すと、ヒルダに与えられたときよりも濃密な口付けをする。
そして、彼女の服を脱がそうと手をのばして、彼は手を止めた。








・・・変に期待だけ、かけないで欲しい。


やはり5升ものお酒を飲んだ後だ。
ヒルダはヴェイグの気持ちも察することなく、深い眠りへとついていた。


ヴェイグは残念な気持ちもあったが、今回は彼女の意外な一面も見れて、少し満足だった。
そして、一生懸命理性を押さえ込もうと変な所で気力を使ったため、動くのが面倒に思える。
そのまま彼は、彼女の隣で眠ることにした。














外の日差しに照らされ、ヒルダは目を覚ました。

体を起こそうにも、動くと頭痛がして辛い。
昨晩は飲みすぎた、と後悔しつつ、手に触れた物が何なのか気になって隣を見た。


 「・・・ヴェイグ?あんた、なんでここに?」


どうやら、彼女は何も覚えていないようだ。
ヴェイグは、それを聞くと、昨晩から溢れてやまないモヤモヤを解消すべくヒルダの服を脱がし始めた。


唐突に行われていることに吃驚しながらも、ヒルダは慌ててヴェイグを止めようとした。


 「ちょ、ちょっと!何朝っぱらからしようとしてるのよ。」

 「お前が悪い。」


力で押さえつけられ、ヒルダはその日一日ヴェイグから開放されることはなかった。










 ―あとがき―
エロは書けないです。下手っぴでごめんなさい〜。
そこらへんは、皆様の豊かな想像力で広げていってください(?)。
・・・ヒルダって、どのくらい飲んだら酔うんでしょう?
<2005.07.20>

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