「まずは歯ブラシだ。」

 「マグカップも必要だと思うわよ。」

 「それなら、皿やフォークもいるな。」

 「それを片付ける家具もいるわね。」






ペアグッズ






新しい生活を始めようとするカップルがここに一組。
今日は、これからの生活に必要な物を買いに町へ出かけた。


 「色々あるのね。」

 「面倒だな。」

 「こういう物は手っ取り早く終わらせましょう。」


 『なんで、そんなに色気がないのさ!』

共に思念を打ち消し、世界に平和を取り戻した仲間なら言ったであろう。
だが、誰もツッコミを入れる人がいないので、2人の買い物は然程時間を取らなかった。



せっかく町に来たのだから、ぶらついてみるのも良いかもしれない。
とりあえず、そう思った2人は行くあてもなく、店の前を通っていく。






 「いらっしゃいませ。」






2人の足は、ある店の前で止まった―宝石屋だ。


 「何かお求めでしょうか?」

 「「これ、ください。」」


2人同時に指差したものは、三日月と星が重なり合ったペンダントだった。
あまりにも息の合った2人の行動に、店員は思わず吹き出してしまう。
それでも、仕事を忘れずにこなす。


 「2つでよろしかったでしょうか?」

 「「ああ(ええ)。」」


目当ての物を購入した後、2人は喫茶店に立ち寄ることにした。
ヒルダが先程買ったペンダントを眺めるので、ヴェイグは問いただした。


 「何故、それが欲しいと思ったんだ?」

 「アンタこそ、なんで買ったのよ?」

 「・・・『質問に質問で返すのは』」

 「「『関心せんな。』」」


仲間であった一人の口癖を真似て、お互いに笑いあう。
どちらが先に答えたかは分からない。
だが、それぞれの意見を言い合った。


 「なんだか、この三日月がアンタのように思えたの。」

 「なんとなく、この星がお前のように思えたんだ。」


またしても意見が重なり、微笑みあう2人。


 「私達って、とことん似たもの同士みたいね。」

 「そのようだな。」


ヴェイグは、もう帰ろうとして立ち上がった。
それにヒルダは続く。


 「このペンダントは、俺達の子供が成長するまで、お互いにつけていよう。」

 「なかなか素敵じゃない。将来、私達の子が良い相手に巡り会えるまでね。」

 「絶対に見つけられる。絶対に幸せにしてやる。」

 「ふふ。その為にも、今からこのペンダントに私達の幸せを詰め込まなきゃいけないわ。」

 「そんなのは簡単に出来る。」




どちらからともなく手をつないだ者達の胸には、三日月と星が重なっているペンダントが光る。







 ―あとがき―
ご、ごめんなさーい!もう蹴るなりぶつなりしてください!
ヴェイグが『ヴェイグ』じゃなくなってて、ごめんなさい!
とりあえず未来のヴェイヒル一発目です。
<2005.06.18>

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