赤い髪の少年を目の前にして、ヴェイグは困り果てた。
添い寝
「で、ヒルダは?せっかく僕が来たっていうのに寝てるの?」
「当たり前だ。お前、今何時だと思ってる。」
「んー・・・まだ朝日が昇ってない時間かな。」
「分かっているなら、来るな。」
気まぐれに世界を放浪しているマオは、唐突に彼らを訪ねてくる。
おまけに時間帯も特に決まってはいない為、今日のように朝方に訪問することもある。
「しょうがないでしょ、昼には町に行かなきゃならないんだから。」
「ただ俺達の邪魔をしたかっただけじゃないのか?」
「ご名答♪」
「・・・親指を立てて言うことか?」
先ほどからあまり感情のこもっていない言葉を投げかけられ、
マオの顔がどんどん不細工になっていく。
「もう、ヴェイグとじゃ楽しい会話できないじゃんか。」
「そんなものを期待するお前が悪い。」
「だから、ヒルダ起こしてきてよネ!」
何故命令されなければならないのか、不愉快に思いながらもヴェイグは寝室へと向かった。
寝室に入ると、そこはヒルダの寝息しか音が聞こえないほど静かだった。
彼女を起こしたくないという気持ちの表れか、音を立てないようにベッドへと近づいた。
未だ眠り続けるヒルダの寝顔を愛しく感じ、ヴェイグは雨のようにキスを振り続けた。
目が覚めたヒルダにとって、彼の甘えている行動はまるで犬のようだと思えた。
寝ぼけながらも、ヴェイグの顔の前に手を差し出してみる。
「お手。」
一瞬戸惑ってから、ヴェイグが彼女の手の上にのせた物は自分の顎だった。
「違うでしょ。手をのせるの。」
「どうでも良い。」
自らベッドへと入り込み、ヒルダを抱き寄せるとヴェイグはすぐに深い眠りへとついた。
そんな行動をヒルダは可愛い、と思いながらまた目を閉じた。
「ヴェイグ・・・一緒に寝て来いなんて、言ってなかったんですけど?」
だけど、さすがに幸せそうに眠る2人を起こす気はなかったので、
少年は手紙を書いてまた何処かへと出かけにいった。
―あとがき―
泊まらせてもらった友達の家に犬がいたので。
「ヴェイグに手のひらに顎置かれたら、すっごく可愛いだろうな」
なんて馬鹿なことを思って書きました。
てか、これ甘い・・・わけないですね。お題に沿ってない?!
<2005.8.10>
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