密会
「どうして皆に隠れてコソコソしなければならないんだ?」
自分の身を預けながら眠りに入ろうとしたヒルダは驚いた。
どうやら、恋愛にはとことん疎いようだ。
「アンタ・・・本当に分からないの?」
「ああ。」
短く答えるヴェイグに呆れはしたが、こういう所も好きだと感じてしまう。
ヒルダは起き上がると、ヴェイグを覆いかぶり、おでこに軽く唇を触れた。
「分からないなら、黙って私の言う事を聞いてなさい。」
暗闇の中である為、ヒルダがどのような表情をしているのか見えないヴェイグだったが、
彼女の言葉を受け入れたのか、目を閉じてヒルダに身を任せた。
一体いつからだったろう。
今ではヴェイグ以外の仲間は皆、ヒルダとティトレイの仲を黙認していた。
別に深い関係があるわけでもなく、それどころかお互いに告白もしていない。
だから、付き合ってはいないはずだ。
やましい事は何もしていないはずだ。
それでも、ヒルダはなんだか気がひけた。
彼ほど好意を見せてくれたヒトは今までいなくて。
自分もそれに対して、期待をもたせるような素振りをしてしまって。
以前に自分が振られた時のように、彼を傷つけたくないと願う。
複雑な気持ちをもつからこそ、今もこうしてヴェイグとは皆に知られないように会っていて。
たとえ、自分が一番愛しているのがヴェイグだと知った後も
彼を傷つけるのが怖くて逃げている。
「ヒルダ。余計なことかもしれないが・・・ティトレイには伝えた。」
ヒルダは突如言われた名前に思わず反応してしまった。
震えながらも声を振り絞る。
「何を・・・伝えたの?」
「俺がお前を愛してることだ。」
「それで、アイツは?」
「・・・お前を幸せにしてほしいと言って笑ってた。」
ああ、彼は分かっていたのね。
彼が私を見るように、私がヴェイグを見ていたことを知っていた。
私は、彼に残酷なことをしていたのかもしれない。
彼の気持ちをズルズルとひきずるようなことをしていた。
明日、会ったらどんな顔をして会えばいいんだろう。
自然と流れる涙をヴェイグは優しく拭ってくれた。
―あとがき―
ごめんなさい、微妙にティトヒルっす!
本当に「微妙」ですけど・・・
あぁ、ティトレイ好きさんにはごめんなさいです!
<2005.06.23>
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